ぶつぶつえころ爺 お仕事の最中に考えたこと&愚痴など

OCT 2004 天晴れ、ロシア! Kyoto Protocol will come into force

ロシア政府が、9月30日に、京都議定書の批准を閣議決定した。京都議定書は、地球温暖化防止に向けて温室効果ガスの削減目標などを定めたものだが、批准国数や批准国の排出量などが基準に達しないと発効できないことになっていた。ところが、最大排出国のアメリカが2001年に離脱したため、発効が危ぶまれていた。
ロシアが批准を決めたのは、今のところ経済が停滞しているから、排出枠に余裕があるため、批准しても困難なことがないだろうし、環境問題への責任というよりは外交上の理由なのだろう。でもどんな理由にせよ、排出の責任をとろうとしないアメリカよりはずっと偉い!
発効によって、日本はこれから大変。排出量が全然減ってないもの。でも、自国の地名の着いた条約議定書なんてそうあるもんじゃないから、きちんと履行できるように、取り組むべきだよね。

OCT 2004 情報公開のはなし

ありゃ、このコーナー、半年以上更新してなかった。日常日記にちょこちょこ書けるようになったいからなー。ということで、ひさしぶりに、お仕事関連エッセイです。
環境政策の提案みたいな仕事をしていると、中央省庁で行われる会議に情報収集のため傍聴に行く機会が多い。そこで気づくことについて書いてみる。
まず、会議にもいろいろな種類があるけど、公開の度合いに差がある。例えば、(1)会議は非公開だけど、問い合わせすれば資料がもらえたり、忘れた頃にウェブサイトで資料が公開されるもの、(2)会議は公開だけど資料はもらえないもの、(3)会議も公開、資料も公開、ウェブサイト更新も迅速なもの、(4)会議も資料も非公開、などなど様々である。不思議なことに、省庁によって差がある。よいことだから名前を出しちゃっていいと思うけど、私が情報を追っている中では、環境省は公開度が比較的高いと思う。盗掘のおそれがある希少種などを議題にした会議や資料以外はほとんど公開されている。どこの公開度が低いのかはご想像にお任せします。
その話しをアメリカ生活が長い人にしたら、それはとんでもない話しだ、と言われた。市民は税金を払っているのだから、行政が何を行っているのか知る権利があるし、行政には説明責任があり情報を提供する義務がある。プライバシーとか一部の情報を除いてほとんどの情報を開示するのが当然だと。
私もそれが本当だと思う。まだ検討中だからと情報の公開を拒まれることがよくあるけど、検討過程から様々な人の意見を聴いて揉まれに揉まれて政策がつくられ、かつ、その過程が全て公開されることが、民主主義の本来の姿だと思う。密室で政策が議論されるような状態があることが、日本人は政治に無関心だったり、社会参加が希薄だったりすることの一因になっていると思う。
情報公開法なんて法律があるけど、手続きが面倒くさくてやってらんない。手続きなんてしなくても情報にアクセスできるのが本来の姿だ。今はインターネットという便利なツールがあるんだから、情報公開を進めることは難しくないと思う。

JUL 2004 アマミノクロウサギ、国内希少野生動植物種に指定

うさぎファンなので、うさぎネタ。絶滅のおそれのある生きものを守る法律「種の保存法」(通称)の「国内希少野生動植物種」にアマミノクロウサギが指定されました。これに指定されると捕獲や譲り渡しが禁止になり、保護区の指定などが可能になります。アマミノクロウサギは、日本の絶滅しそうな生きものの代表格みたいなものだったから、あれっ、まだ指定されてなかったんだ、というのが率直な感想でした。
アマミノクロウサギは日本固有の種で、奄美大島に3,500頭、徳之島に200頭程度しかいないそうです。長い間島で隔離されてきたため、うさぎの祖先の特徴を色濃く残した原始的な種だそうです。そういえば、本州はノウサギだけど、アマミノクロウサギは穴を掘るからヨーロッパのアナウサギに近いのか? テレビの映像で見たけど、子どもを穴に隠れさせて上から土で蓋をする姿がすごくかわいかったなぁ。
国内希少野生動植物種に指定されたことで、保護が進むことを祈ります。

3 DEC 2003 なんかおかしい! カクレクマノミの人気上昇

ディズニー映画「ファインディング・ニモ」の波及効果か、熱帯魚のカクレクマノミが人気上昇、店では品薄状態らしい。ええっ、何で?ってのが正直な感想。だって、このストーリーって、「人間の世界に連れさられた魚はもう二度と海には戻れない」ってのが、宣伝で使われてる言葉の一つで、たしか、父親のマーリンが、ダイバーにさらわれたニモを捜しに行くってストーリーだったような気がする。まだ見てないけど。だから、この映画を見たらふつう、自分の家で飼おうというよりは、海でそのままにしてあげようという気持ちになると思うんだけど、なんで??? 映画を見て印象に残るのは親子愛だけなんだろーか? まさか、水槽のほうが暮らしやすいとかいう衝撃の結末なのか?! 見てみないとわからん。むーん、むーん(苦悩…)。
そいや、この魚、私は映画とは関係なく子どもの頃から好きだったよ。オレンジ色で小さくてかわいいし、イソギンチャクと仲良しなところが。でも海に棲んでいるものを水槽で飼いたいなんて、考えたことなかったなー。難しいだろうし、べつに海を切り取って部屋に置きたいなんて思わない。今は気軽に映像が見れるし、生で見たいと思えば現地に行ける時代だしね。本来の生活の場である海にいる状態がベストだと思うのだが…。
あと、なんで「ファインディング・ニモ」っていう邦題にしたんだろう。「ニモを捜して」とかのほうがずっとわかりやすいのに。おかげでファイティング・ニモだとずっと誤解してたよ。戦うニモ?いったい誰と…?(笑)

29 NOV 2003 命をかけた仕事

といっても私の仕事ばなではありません。イラクで日本の外交官が亡くなられた話です。とてもショックだったけど、やはりという気持ちもあった。戦争が一応集結しても、報道で見る限りイラクの国は依然混乱状態で、そういうところに行くということは、誰でも命を失う可能性があるということだと思っていた。だから、テレビで見た三等書記官の叔父様の「彼は外交官になるときから、そういう覚悟でいたから、悔いはないと思う」というようなコメントは、うなずけるものだった。非常に高い志を持って、イラクの復興のために尽くしてきた方々だったらしいから、とても残念だ。
ひきかえ、総理大臣とかのコメントは全然的を得てない。安全の確保ができたら、非戦闘地域に自衛隊を派遣すると繰り返しいうけど、安全に万全なんてあるわけない。今のイラクに非戦闘地域なんてあるわけない。予防に最大限努めるけれども、確実に安全を保障できない、そういう場所であると、本当のことを言うべきだと思う。少なくとも亡くなった外交官は、それを覚悟して行っていたわけで…。
軍隊に入るということが有る意味命をかけるということであると思うが、自衛隊に入ることはどうなんだろう。命をかけて入るのかな。そのあたりが、他の国の軍隊との違いかもしれない。国連の人々など文民が攻撃される異常な事態のイラクに行くとすれば、命を失う可能性があるということを心のどこかで覚悟しておく必要があるだろう。
もちろん、イラクの復興に協力することは、国際社会の一員として必要だと思うが、自衛隊をそのまま派遣することについては疑問である。戦いを職業としている軍人なら別だが。日本の自衛隊は、実際はどうだか知らないけど、憲法上の位置づけは軍隊ではない。だから、自衛隊員はイラクに行くことについて、個人として選択できるようにしておく必要があるのではないか。例えば、どこどこの部隊を派遣するというのではなくて、自発的に行く人を募って隊を作るとか。日本の事情から考えると、イラクに行く人には自発的な意識が多少なりとも必要じゃないかと思うのだが。あ、でも自衛隊の制度には、世界平和のための救援活動が含まれているのかもしれない。調べてみないとよくわからん、この辺りは。
しかしこの出来事は、尊大な外務省職員や私利私欲のために働く公務員が目立つなかで、なかには、世界や、世界の中の日本のために、真剣に働いている公務員がいるということを思い出させてくれた。と同時に、そういう貴重な人材が失われたことは、日本にとって大きな損失であったと思う。お二人のご冥福をお祈りします。

10 OCT 2003 The Last Japanese Ibis died…

日本国内産最後のトキ、キンちゃんが死んでしまった。とても悲しいニュースだった。今日は報告書の取りまとめでひどくばたばたしていて、夜になるまでこのニュースを知らなかった。すごくショックだった。ショックだったのは、自然を守る仕事をしているのに自分がとても無力だったこともあるし、nipponia nipponの学名を与えられた、自分の国を代表する鳥が絶滅してしまったことがすごく無念。あと、キンちゃんの一生を振り返ってみるとすごく切なかったからだ。
トキの絶滅の経緯は、去年この頁にも書いたけど、1981年時点で野生の5羽全てが捕獲され、人工繁殖が試みられたものの、上手くいかなかった。
キンちゃんは、推定年齢36才、人間でいえば100才以上だそうだ。生後1年前後の幼鳥のときに捕獲され、ずっとトキ保護センターの飼育舎で過ごした。ニュースによれば、飛び上がって飼育室のゲージに頭をぶつけたことによる頭部挫傷が死因らしい。大空を飛びたかったのかな…。自然のなかで生きていくことがトキらしい一生だったと思う。そうさせてあげたかった。高齢とはいえとても切ない最後、涙なしにはいられない。

JUNE 2003 銀座でホタル???

銀座のソニービルの前で、ホタルが見れるというイベントをやっていて、結構長い列ができていた。ホタルなんて並んで見るのばかばかしいと思ったけど、こんな都市に住んでいたらホタルを見たことない人ってきっと多いんだろう。私も大人になるまで見たことなかったと思う。しかも日常生活をしている場所ではなく、長野県で。列にならんでも見たいという東京の人々の気持ちもわかる気がする。でもやっぱりばかばかしいかな。ホタルがいるような沢をたくさんつぶしてきてしまったんだもの。その結果がこの長い列。長野県でホタルを初めて見たとき、それはそれは幻想的だった。近くで見るとただの黒い甲虫なのに。電気では作り出せない微妙な光景。暗い夜の森で見てこそ味わい深いのに、大都会の真ん中の箱のなかで見たって遠く及ばない。都会ではささやかな美しいものを守ってこられなかった。そういう意味でとても貧しい場所だと思う。

4 MAY 2003 チェブラーシカで環境問題を考える

30年程前、旧ソ連時代に制作された短編人形アニメのビデオを見た。あ、ロシア語のビデオなので、細かいことはわかりませんが。主役のチェブラーシカは正体不明の小動物で結構かわいい。この3話目「シャパクリャク」が印象に残ったのでそのことについて。
チェブラーシカと友達のワニのゲーナが旅行に出かけるのだけど、その途中で、川で泳いで汚れた子どもたちに会う。「誰が汚したの」とゲーナが尋ねると、子どもたちは「工場」と答える。近くの工場が汚れた水を川に流していたので、ゲーナは工場長に抗議しに行った。「パイプを取り外してくれる?」とたずねるゲーナに工場長は「必ず」と返事をし、ゲーナは子どもたちのところに戻った。でも子どもたちはまだ汚れている。工場長はパイプを埋めて隠しただけだったのだ。ゲーナは怒って川に潜り、水中に隠されたパイプをしっぽで塞いでしまう。すると汚れた水が工場に逆流、水浸しに! 子どもたちはきれいな川で泳げるようになった、という痛快なお話。
30年も前のソ連でこんな話がつくられていたことに驚いた。こういう、子供向けのものにちょっとした環境のトピックが含まれているのって、わかりやすくていいと思う。日本のアニメもこういう話題を入れたらいいのに。ナウシカも自然破壊がテーマになっているけど、ちょっと大人向けだものね。あ、でももうちょっと詳しく理解するために日本語のビデオをみなくちゃ。さすがソ連のビデオだけあって、一人で全て吹き替えではなかったけど、相変わらずケチっているのか、いたずらなおばさまシャパクリャクの声が男性だったのにうけた。

20 MAR 2003 イラクへの攻撃開始

市民は無力
戦争が始まった。誰もが戦争がない世の中が良いと思っているはずなのに。国連決議へのアメリカの働きかけに対して、また、今回の攻撃開始に対して、戦争に反対する市民のムーブメントが時差によって地球をぐるっと一周するように拡がり、報道もされているし、インターネットを利用した新しい動きも飛び交っているというのに、市民の声が一向に反映されないのはなぜ? 国策に対して市民の力がこんなにも無意味だったのかと虚無感にさいなまれる。人間の盾になる人々もおそらく攻撃を止めることは出来ない。すでに、民間人が攻撃対象に含まれることで攻撃を躊躇するような状況にない気がするから。命が無駄にならないといいけど、その人々の美談だけが残るような気がする。
NGOも今のところ無力
NGOはどうだろう。環境に配慮した攻撃なんてあり得ないし、エネルギーも大量につかう。戦争は自然を大きく破壊するから、環境NGOとしては反対の立場とるべきだと思う。私の所属するNGOは、政策提案をメインにしているせいか、緊急の課題に対して機動力が弱い。話題にものぼっていないし、たぶん今回も傍観。その点GPは活動目的に平和が入っているから当然立場は明解だし、行動も早い。そのほかにも平和系のNGOが電子署名を集めたり、声明をだしたり、デモをしたりしているけど、状況は変わってないから、今のところNGOは戦争を止める程の大きな影響力にはなっていない。
どうしたら戦争が停まるのだろう。市民の力ではどうにもできないと思いつつもとりあえず署名や意見広告に協力することくらいしかできない。あとは、アメリカ製品を買わないとか。でも戦争に反対しているアメリカ人もいることを考えるとなぁ。国民の声に耳を傾けているかどうかは疑問であるが、結局は国のリーダーの決断が今のところ大きな力を持っている。この戦争を始めたのもブッシュだし。ブッシュと数名のブレーンによってイラクの人々、イラクという国、世界の運命が決められた。ロシアは、国内に紛争を抱えているにもかかわらず、今回の攻撃に反対の立場を表明している。大きな矛盾はあるけど、一応フランスとともに国連決議を始めとして、戦争の歯止めにはなっている(いた)気がする。日本の総理大臣も戦争に反対する市民の意見が多いのに戦争を支持してしまった。重大な決定は市民の手の届かないところで行われてしまう。
疑問はいろいろあるけれど、戦争でイラクの指導者であるフセインと主要な人物を亡き者にしようとしているけど、政治的に直接被害を受けるイラクの市民によるクーデターというならわかるけど、なんで外の国のアメリカがイラク国民の解放を口実に戦争しなければならないのか、指導者がアメリカにとって都合が悪いからって、戦争で亡き者にするということが許されるのか、どうも納得がいかない。アメリカ風の民主主義がすべてなのか、多様な社会体制の国や文化があるということをなぜ認められないのか。
最近のアメリカには、世界の枠組みを自国のために都合よく組み直し、また、都合良く利用しようとする身勝手な姿勢しか見えない。いわゆる一人勝ち状態、本当に世界のことを考えているとは思えない。予防と世界平和の名を借りて戦争を起こし、世界を巻き込み多くの人々に損害を与えるのはやめてほしい。アメリカという国がますます嫌いになった。そして個人の無力さに涙。

16 DEC 2002年環境十大ニュース

私の関係する某環境NGOでは、今年も恒例の環境十大ニュースを発表した。イベント会場、ホームページなどで意見を募集し、今年1年を振り返り、自然環境保全の視点から、良かった出来事、悪かった出来事をあげてもらい、集計結果と分析を公表するもの。担当は新人なのだけど、部屋に新人が全然入らなかったので、私はこれを4年もやり、今年やっと来た新人に譲り担当をはずれることが出来た。
結果の方は、良い出来事:1熊本・球磨川の荒瀬ダム完全撤去決定2日本が京都議定書批准3自転車タクシー登場4藤前干潟ラムサール条約の登録湿地に5自然再生推進法が成立。悪い出来事:1世界各地で洪水被害2相次ぐ座礁事故3魚の漁獲量が激減4尾瀬で不法投棄が発覚5京都議定書にアメリカ不参加。今年の主役:タマちゃん(生きものへの関心高まるも河川の水質よくならず)。
今年1年でどれくらい自然環境の保全が進んだのだろう。毎年微々たるもので、なかなか激動の1年とはいかないな。すぐに利益を生むものの方が進歩のスピードが速いよね。自然環境は超長期的に見たら人類にとって最も価値のあるものなのに、人間て目先の利益を追求しがちだから、どうしても後回しにされる。そんなふうに立ちはだかる壁を壊しながら、いや、壊すなんて派手なものではなく、こつこつ削りながら(映画『ショーシャンクの空に』のイメージ)、ちまちま積み重ねていくしかないんだよね、地味だな〜、この仕事。

1st DEC 2002 朱鷺の悲しいものがたり

佐渡のトキ保護センターを見に行った。日本産のトキ、最後の1羽であるキンちゃんは、奥のゲージで公開されていないということで会うことができなかった。でも中国からはるばる運ばれて繁殖が成功したトキをみることが出来た。羽ばたくと朱鷺色が見える。朱鷺色とはこの色のことと一応目に焼き付けた。キンちゃんは昭和42年生まれで御歳35歳、驚いたことに私より年上、ご高齢だそうだ。繁殖はもう不可能で、キンちゃんが亡くなれば日本のトキは絶滅する、事実上絶滅が決まっている。
トキは学名をNipponia nipponといい、生物学の世界でも日本を代表する鳥。20世紀初頭には、東アジア一帯に広く分布し、けっして珍しい鳥ではなく、江戸時代には函館から沖縄までほぼ全国に生息していたことがわかっている。その後、乱獲や生息環境の悪化で減少が進んだ。大正時代の終わりには絶滅したと思われていたが、隠岐島、能登半島、佐渡島で再発見された。しかし、隠岐では昭和20年に絶滅、能登半島では昭和45年に最後の1羽が捕獲された。佐渡では、昭和50年代に入り10羽を切るようになり、56年に残る5羽を捕獲して人工繁殖に踏み切ったが、うまくいかず、今ではキンちゃんだけになってしまったという悲しいお話。昭和といったらそれほど昔の話じゃない。歴史に「もし」はあり得ないのだけど、現在のもう一つの生息地中国の洋県のトキは7羽が再発見され、そこから約450羽まで増えていることを考えると、もう少し早く手が打てれば絶滅しなかったかもしれない。
そして現在は、中国からトキをお借りして、繁殖が成功して、増えてきたので次は野生復帰、という話になっているが、それが本当にいいことなのかわからない。少なくともトキの繁殖成功のニュースは、技術の修得という点では喜ばしい事だけど、新聞の1面を写真で飾るほどのことではない気がする。なんで、マスコミはこぞって喜びの報道を流すんだろう。ニュースをちらっと見ただけでは、かえって、日本のトキが絶滅の危機から救われたと誤解するかもしれない。
野生復帰(というか、まだ遺伝学的な違いが明らかになっていないけど、これは中国のトキの導入じゃないのかな)については、日本産ではないから放鳥するべきではないという意見と、日本産のトキはもういないのだから原産地は違うけど同じ種で代用して生態系の復元を目指す、という考え方があると思うが、どう考えてよいのか難しい。これを検討するヒントとなるのは、もとの生息地の自然環境をどうしたいのか。トキのいる自然環境を復元するのか、トキのいないまま自然環境をより良くするのか、さらに開発を進めて人工的な利用をするのか。この議論の結論を誰がだしたのか勉強不足でわからないけど、今現実には中国のトキの導入に向けて話が進みつつある。トキの森公園の人の話によれば、実際に問題となってくるのは、農業との関わりらしい。トキは植えたばかりの稲を荒らしてしまう害鳥なのだそうだ。だから実現は困難が伴うという話。
でも、これっておかしいと思う。おみやげ屋さんに行けば、ぬいぐるみとかキーチェーンとかお菓子とか、それこそトキをキャラクターにした商品が楽しそうにいっぱいおいてある。こういうものを通してトキの経済効果ってそれなりにあるんだろう。地元の人もトキがいることでそれなりに利益がある、トキがいることを誇りに思っていいはずなのに、野生化の話になると、農業被害の心配で前に進めないなんて、この島の人々は矛盾している。絶滅してしまったら、トキグッズなんて意味ない。
いろいろ考えてはみたけど、やっぱり結論は出せない。複雑な気持ちのまま。ただ、もし中国のトキが日本に放されるのなら、快適に暮らせるような環境づくりをしてあげないといけないと思う。少なくともそうあってほしいと望むのは、この先第2のトキを生み出さないことと、野生生物が生きていることが地域に役立つ、そんな地域に誇りが持てる、そういう気持ちが全国の野生の生きものが生息する地域に住む人々の心に芽生えていくこと。
参考文献:新潟県トキ保護募金推進委員会「トキ」パンフレット(2002年)。

OCT.2002 うめき声が…

環境は環境でも労働環境が悪化している。労働基準法を守らない話は前にも書いたが、もともとアウトドアが好きな人が多いせいか、体調を崩さずによく働いているよなぁって感じ。でも、中には、体調が悪くなって入院したり、辞める人もいる。
数ヶ月間気になっているのは、隣の席の後輩のうめき声。本当にうめいているわけではないのだが、のどの調子が悪いらしく、それを何とかしようとしているのが私にはうめき声に聞こえる。事の起こりは、数日前から具合が悪そうなのに、なんだか知らないけど無理をしていて、39度の熱でドクターストップがかかって、いきなり仕事をドタキャン。かるい肺炎とか気管支炎とか言ってた気がするが、その日はイベントで、たまたま運営人員に余裕があったからいいけど、おいおい、って感じ。それ以来もう4ヶ月くらいそんな調子。なんか苦しそうなんで気になる。本当に大丈夫なのかね。
またもや新しく月一回の夜の会議が新設された、というか復活した。もういい加減にしてくれ。帰りが遅いと家で何も出来ない。ただ寝るだけ。家事をやってくれる人がいればいいけど、女性も働く時代に何言ってんのって感じ。完全に時代の波に乗り遅れてるよ、この職場。しかもまた部屋を借り増しするから移動しないとならない。作業も手間だし、新しく借りるってことはそれだけ稼ぎを出さないといけないってことだし。階がまたがると作業効率が落ちる。その上カーペットが黄金色! 本当に光っているわけではないが、明るい部屋がいいって言ったってこの色…、いったい何を考えとるんじゃ。労働力が落ちたってもう知らん。

SEP.2002 矛盾したアメリカ:個人的印象

8月の終わりから9月にかけて、ヨハネスブルクで環境開発サミットが行われた。10年前に行われた、リオの地球サミットから10年、環境問題への取組が問われる会議だった。個人的印象としては、前回に比べ、盛り上がりに欠ける会議だった。簡単にできることはちょこちょこと行われてきているけれど、世界で一大ムーブメントが起きるほどの、劇的な変化は起こっていない、むしろ、経済格差が広がり、悪いところでは一層悪くなっているという印象を受けた。
そんな中で、私が気になっているのは、アメリカの動きである。石油産業の強力なバックアップを持つブッシュ氏が大統領になってからのアメリカは、世界の環境について責任を持たない国になってしまった気がする。京都議定書から脱退し、今回のサミットにも大統領は欠席した。二酸化炭素の排出量を見ても、アメリカは世界の環境に大きな影響を与えているにも関わらず、である。
しかし、アメリカの国内を見てみると、温暖化について研究している世界的な組織があるし、NGOは、何百万というサポーターを抱え、社会のセクターとして認められている。NGOの活動は、国境を越えて、世界のどの国よりも活発であると感じられる。市民やNGOの世界的な貢献と国の非協力的な姿勢に大きな矛盾がある。アメリカという国をどう評価していいのか、わからなくなってきた。
アメリカには、自国の利益にならないことはしない、という明確な姿勢が見える。それが、国際的な協力体制からはずれることだとしても。このような利己主義的な姿勢が、世界において孤立感を深めているのではないか。短絡的にテロ攻撃とは結びつけられないが、いつからかアメリカは敵の多い国になってしまった。全く無関係には見られない気がする。

JUL.2002 バスを釣るならアメリカで

滋賀県で「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例」が制定されようとしている。要綱案には、「外来魚の再放流の禁止」が設けられており、これに反対するブラックバス釣り愛好者からチェーン化したパブリックコメントが6000件も寄せられているという。ブラックバスは北米の魚で、本来、日本の水域には適さない魚である。旺盛な繁殖力と魚食性を持ち、固有の進化の歴史を持つ日本在来の生きものや生態系に取り返しのつかないインパクトを与えるおそれがある。こうした事実をバス釣り愛好者が知れば状況が改善されるかというと、そううまくはいかない。バス釣りで一大産業が築かれているし、バス釣りを推進している団体もある。バスの悪影響を知らない人々よりも、釣り業界や釣り団体に身を置き、生態系を破壊するという事実を知りつつもとにかくバスを釣りたい釣りたいという一心で、バス以外の環境破壊要因に責任を負わせて、バスは無害であると主張したり、バッサー(バスを釣る人)はマナーが悪いのでクリーンアップ活動を推奨しているというように、議論のすり替えをしている人々、団体の方が、むしろやっかいである。人気のあるタレントがバス釣りをしていることもかなりの悪影響になっていると思う。存在しないはずの魚を、日本の自然を壊してまで放流して自分が楽しむという身勝手さ、ここには自然に対する尊敬の念も、日本の自然を健全なままで将来世代へ手渡そうという責任もない。そんなにバスを釣りたいのなら、自然を破壊しないように、絶対流出しない釣り堀を作ってそこで釣ればよいのにと思うが、バッサーは、自然空間で釣るというこだわりから抜けきれない。キャッチアンドリリースされても日本の自然には全然優しくない。こうゆう人たちが、6000件のパブリックコメントを送っている。むなしいけれど、身勝手な人々は強いのである。さらにおそろしいのは、子どもたちにも確実にバス釣りが広まっており、バス釣りを通じてしか自然にふれあうことができない子どもが増えていることだ。すでに誤った自然観が植えつけられている。釣りたい、釣りたいというなら、本来の生息地であるアメリカに行って思う存分釣ればよいのに。

JUN.2002 個人の思い、組織の意向

今年は日英同盟100周年らしい。これを記念して、イギリスから、100本のオークが送られて、全国に植えられるということだ。これに対して、私がメンバーになっているNGOは、イギリス産の樹木を各地に植えることは自然保護上よろしくないと意義を唱えている。でも、個人としては、私はこれは違うんじゃないかなぁと思う。例えば、産廃で荒廃した豊島にオリーブの森を作ろうとしている人たちがいるけど、面積もあるし、森というビオトープを創出することだから、生きもののことも考えて、地域に合った植物で森を作る方がよい。豊島のオリーブについてはやはり問題があると思う。でも、小学校100校に一本ずつといったときには、一種のモニュメントで、これが周囲の環境を破壊したり、生きものに悪影響を与えるとはあまり考えられない。何の疑問も持たず積極的に外国の木を植えることは、環境教育上良くないかもしれないけど、環境教育が学校でしっかりおこなわれていないことの方がむしろ問題だと思う。何も外国の木で学校林を作ろうとしているわけではない。日本の自然を守るためにここまで言う必要があるのかなぁ。ちょっと疑問を感じた出来事だった。

JUN.2002 ボランティア的不法労働

仰々しいタイトルを付けてしまったけど、要するに休みたいときに休みたいということである。私の職場は、朝8:30から夜18:00、途中1時間半の昼休みがあり、日曜は休日、土曜は各週で休日、年末年始休暇、夏休み、(おそらく)有給休暇、という休日体系に、文書上はなっている。でも、5年働いて、有給休暇を申請して取ったことはない。というか、だれも取っていない。とるもんじゃないという風潮がこの職場にはある。代表者がボランティアで、休むという観念が頭にないためだと思う。唯一許されるのは冠婚葬祭がらみである。時間内に仕事が片づかなければ、残業代がでなくても残業する必要があると思う。NGOだから、休日に、地域の活動に参加することも必要だと思う。毎日のようにボランティア残業があっても、休日にボランティアが多いことも、ある程度は仕方ないと思う。けれど、仕事をきちんと管理して休みが取れる状況をつくったとしても、好きな日に有給をとることができないのが最大の不満である。さて、こんな感じだと法律に違反していないかと疑問である。書類上は法律違反は許されないので、あくまでも予想だが、法律事項でない夏休みや病欠に有給が割り振られているのだろう。夏休み、今年も夏休みがやってくる。定例の水曜会議に欠席が許されないため、木曜日から火曜日の6日間と決められて取らなくてはならない夏休み。シベリアのエコツアーに行きたいなぁと思っても、6日間では無理。思い切ってヨーロッパに出かけても、移動ばかりに時間がかかってしまう。しかもピーク付近の旅行代金で旅費が非常に高い。友人は、働いてお金に余裕ができたけど休みがなかなかとれないとぼやくが、それでも、10月とかに夏休みがとれたりする。私の場合は、お金に余裕がないうえに、高い時期に強制的に用意された夏休みしかとれないのである。ルームメイトが病気になっても、自分が病気になるか、休みの土曜日に獣医さんに行くしかないのである。せつないなぁ。

MAY.2002 くじらくじらくじら〜♪

クジラを捕らないと、魚が減る?
間引きではなく、クジラも餌に不自由しない生態系を確保する対策が必要なのでは。
過去の数より増えているならその分間引くことも必要かもしれないけど。
日光や北海道のシカみたいに。
でも、増えた原因の究明と間引きの影響について、
生態調査をしてコンセンサスを得る必要がある。
コンセンサスを得る相手は、国内だけではなく、国際的なコンセンサスが必要。
調査捕鯨のミンククジラ、ベーコン?
初めて食べた。生臭くておいしくない。
刺身が嫌いなせいかも。
火を通したらおいしいのだろうか。
食べながら、これが、もし、絶滅のおそれのある生きものだったら、
それなのに南氷洋のクジラを捕ってよいというコメントをNGOで出したとしたら。
責任の重さを考えるとますますおいしくない。
♪くじらくじらくじら〜 くじらを食べると〜
あたまあたまあたま〜 頭が痛くなる〜♪
 

APR.2002 エコロジカルなワールドカップって?

エコロジカルなワールドカップサッカーって可能?
×新潟では殺虫剤
$勝ったチームのサポーターが募金をしたら?
勝利チームは環境にも貢献できる。
$募金箱の設置くらいかなぁ。
!飲み物のボトルに小話印刷?とかね。

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